【2月3日 AFP】腫瘍(しゅよう)に含まれる特定のタンパク質の量を調べることで、がんの転移や再発の可能性を高い精度で予測する方法を発見したとの論文が、1日の医学誌「Clinical Investigation(臨床試験)」に発表された。

 現在の進行度(ステージ)分類より正確な診断ができ、広範囲への応用が実現すれば、転移を防ぐための積極的な治療をいつ実施するかの見極めにも役立てられそうだという。

 米国立衛生研究所(US National Institutes of Health)と香港大(University of Hong Kong)の研究者らは、通常インシュリンなどのホルモン処理に関与するタンパク質「カルボキシペプチダーゼ E(CPE)」の新たな変異体「CPE-delta N」を発見。これが、さまざまながんにおける転移性腫瘍細胞に多く含まれていることを見出した。該当するがんは、肝臓がん、乳がん、大腸がん、副腎がん、頸部がん、脳腫瘍など幅広い。

 現在、がんの進行度は、ステージ1(早期がん)、ステージ2(軽い進行がん)、ステージ3(かなり進んだ進行がん)、ステージ4(末期がん)に分類されている。研究チームは、ステージ1~4の肝臓がん患者99人を8年間追跡調査。腫瘍細胞と周囲の組織を摘出し、タンパク質の生産を助けるリボ核酸(RNA)を測定することでCPE delta-Nの量を調べた。

 その結果、腫瘍に含まれるCPE delta-N RNA量が、周囲の細胞に含まれる量の2倍以上だった人では、2年以内に再発または転移する確率が極めて高かった。逆に2倍以下の人では、再発の確率はがくりと下がった。

 また、がんの転移・再発予測については90%以上の確率で的中し、再発しないとの予測でも76%が的中した。ステージ2の患者で、腫瘍摘出後に転移の可能性はなく治療の必要はないとされた人に再発が予測されたケースもいくつかあったという。(c)AFP