【1月27日 AFP】3歳程度の幼児のころに過活動気味だったり、集中力の欠如や衝動的な行動がみられる子どもは、自制力を獲得せずに育った場合、成人になってからも問題を抱える傾向があるとの研究結果が発表された。

 24日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された研究によると、自制力を評価するチェックリストで、子どものときに点数が低かった人は、そうでなかった人と比べて、大人になってからも金銭面、健康面、物質乱用などで問題を抱えやすい傾向があることが示された。

 研究はニュージーランドの子ども1000人と英国の双子500組を対象に国際チームが行った。自制力が低いと評価された子どもは「欲求不満に対する忍耐力が少ない、目標達成に対する根気がない、ひとつのことに集中するのが難しい」といった傾向があった。そのほかの指標としては「過活動、考える前に行動する、順番が待てない、落ち着きがない、慎重さが足りない」といった面も見られた。
 
 論文の主著者である米デューク大学(Duke University)の心理学者テリー・モフィット(Terrie Moffitt)氏によると、こうした指標で点数が最も低かったグループの子どもたちは、成人になってから様々な問題を抱えていた。

 例えば健康面では、呼吸障害や歯周病、性感染症、炎症や太りすぎ、高コレステロール、高血圧などが挙げられた。また、クレジットカード債務のような金銭問題もみられた。さらに生活面でも「親になってから1人で子どもを育てる可能性がより高く、アルコールやタバコ、大麻やさらに強いドラッグといった物質依存症の問題、さらには犯罪を起こしやすい」傾向が見られたという。

 また、態度を変えてもっと自制を働かせることを学んだ子どもは大人になってから、そうしなかった子どもと比較してより順調に生活しており、研究者たちは「行動変容」が肯定的な結果を生み出す証拠だと述べている。

 この研究には参加しなかった米フロリダ州立大学(Florida State University)の犯罪学者アレクシス・ピケーロ(Alexis Piquero)教授も「自己統制によって変わることが可能だというのは朗報だ」と結果を歓迎している。(c)AFP