【1月23日 AFP】片頭痛持ちに朗報だ。症状の重い片頭痛であっても脳には影響しないとする研究結果が前週、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」電子版に掲載された。

 成人の約9人に1人が片頭痛持ちと言われている。激しい痛みのほか、「目の前で光がチカチカする」などの前兆が伴う場合もある。片頭痛の原因は特定されていないが、脳内の血管に関係していることがわかっている。

 MRI(磁気共鳴映像法)を用いたこれまでの研究で、片頭痛の症状が重い人ほど脳内の微小血管に小さな亀裂が生じる傾向があることがわかっている。こうした亀裂は、血液を脳の白質に供給する細い大脳動脈の劣化によるものだ。

 脳内の微小血管の亀裂は、高齢者、糖尿病患者、高血圧の人でも起こりやすくなる。これらは多くの場合、うつ、脳卒中リスクの増加、アルツハイマー病などの神経変性疾患、記憶力や思考力の低下と関連づけられてきた。

 ピエール・マリー・キュリー大学(パリ第6大学、Universite Pierre et Marie Curie)の研究チームは、片頭痛患者もこのような症状を呈しやすくなるのかを確認するため、フランス・ナント(Nantes)に住む65歳以上の高齢者800人以上で認知力テストを行った。このうち、片頭痛に苦しんだことがあるという人は全体の約15%だった。

 結果は、片頭痛を持っていた人も持っていなかった人も大差はなかった。前兆を伴うなど、片頭痛の症状が極めて重かった人でも、認知力の低下は見られなかった。

 研究者は、「片頭痛持ちをほっとさせる結果だ。脳内の微小血管の亀裂が増えても、認知低下リスクを増大させないことがわかった」と話している。(c)AFP