【1月3日 AFP】欧州で喫煙を禁止する法律が次々と施行され、愛煙家たちが寒空のもと屋外での喫煙を余儀なくされるなか、電子たばこの売り上げは伸びている。しかし、電子たばこに批判的な人の間では、電子たばこが禁煙対策を台無しにしているとの批判が強まっている。

 欧州に禁煙法の波が押し寄せる中、スペインは2日、屋内公共空間の全面禁煙を定めた法律を施行した。電子たばこメーカーにとって、昔からヘビースモーカーの多いことで知られるスペインの禁煙法施行は大きなビジネスチャンスとみられている。

 2004年に中国で開発された電子たばこは、人工的な煙を出す小型の噴霧器のような装置で、たばこを吸う感覚を再現する。成分にニコチンを含めることも、含めないこともできる。

 パリ(Paris)の、ある電子たばこの愛用者は「とても満足している。ニコチンの害がなく、たばこを繰り返し吸う感覚が欲しかった」と話す。

 電子たばこメーカー大手EdSylverによると、同社の売り上げは2007年の発売以来、毎年30%増加している

■禁煙グッズではなく屋内用の喫煙グッズ?

 メーカー側は電子たばこは吸う本人だけでなく、周囲の人にも無害だと主張するが、保健専門家らはこの主張を批判している。

 たばこ反対を掲げる専門家のエドアルド・ビアンコ(Eduardo Bianco)氏は、ウルグアイで11月に開かれた世界保健機関(WHO)の会合で、電子たばこが「禁煙対策を台無しにした」と批判した。

 また、全仏反たばこ委員会(French National Committee Against Tobacco)代表のイブ・マルチネ(Yves Martinet)教授は、「この製品は禁煙する上で全く医療的効果がなく、禁止した国もあるほどだ。科学的な評価がなされていない」と電子たばこを批判する。

 フランスの喫煙防止局は、電子たばこが「禁煙グッズ」として売られている一方、「屋内で喫煙する道具」としても販売されている現状から「何のための製品なのかあいまいになっている」と指摘し、薬局での販売を批判している。

 もっともたばこ販売店は、メーカーが言うほど電子たばこは売れていないと語る。パリのタバコ販売店協会の代表は「まったく売れてない。前の年の在庫を抱えている店もあるくらいだよ」と述べた。(c)AFP/Marie-Noelle Blessig