【12月21日 AFP】タイガー・ウッズ(Tiger Woods)の一連のスキャンダルで注目されるようになった「セックス依存症」だが、セックスに依存する人は親密な人間関係を怖がり、また恋愛関係に不安を感じる傾向があるという調査結果がニュージーランドで発表された。

 強迫的な性行動に陥っている600人以上を対象に調査したところ、恋愛関係に懸念や不安をもち、他者に愛着をもちすぎないようにしている傾向が浮き彫りになった。

 この調査はマッセイ大学(Massey University)心理学部の学生カレン・フェースランダー(Karen Faislander)さんが、臨床心理学者と専門研究者の2人の指導の下、この種の調査として同国では初めて行った。

■薬物依存などに比べ研究遅れる

 セックス依存症は非常に複雑な心理状態で、アルコールやドラッグなどの薬物依存やうつ病などに比べて研究が遅れているという。しかも原因や、効果的な治療法は明らかになっていない。しかし、セックス依存は「誤解され、偏見の目で見られている」とフェースランダーさんは語る。

 フェースランダーさんによると「セックス依存」という言葉が初めて登場したのは1980年代初頭で当時、科学論文では同じ状態を記述するため性的強迫症、過剰性欲障害、異常性欲など29の用語が使われていた。現在はout-of-control sexual behaviours(OOCSB、制御不能性行動)という呼び方が望ましいとされている。

 セックスに関する話題はみなあまり表だって話したがらないという理由から、無記名のインターネット調査を行った。参加した621人のうち407人が、自分はセックス中毒だと回答した。

■人間関係を怖がる人が多い

 調査ではオンライン・セックスや売春、人前でのセックス、複数人との同時セックスをしたことがあるかどうかを質問した。またアルコール摂取や自尊心に関する質問も行った。

 この結果、セックスに依存しているとした人は、人間関係を脅威と捉え、人との付き合い方が不安定で親密になることを怖がる、あるいは避ける傾向の割合が高かった。セックス依存ではない人たちが親密さを望ましい、あるいは価値のある関係だととらえ、また人との関係に安心感を覚え、自分のパートナーを信頼できると考えているのとは対照的だった。

 近年、タイガー・ウッズの他にも、俳優のデヴィッド・ドゥカヴニー(David Duchovny)や英コメディアンのラッセル・ブランド(Russell Brand)らのセックス依存症が取りざたされたが、彼らが治療を受けたようなセックス依存症クリニックが続々とできている米国では、人口の3~6%がセックス依存症ではないかと、フェースランダーさんの研究は推計している。

 フェースランダーさんによると、ニュージーランドでは米国のようなクリニックでの治療は受けられず、元はアルコール依存症者の自助グループ、アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics AnonymousAA)が発展させた12ステップのプログラムに基づくセックス依存症者の自助グループが活動するにとどまっている。(c)AFP