【12月9日 AFP】レシートや紙幣に、がんや肥満などとの関連が指摘されている化学物質ビスフェノールA(BPA)が相当量付着しているとする研究結果を、米NPOの研究チームが8日、発表した。

 米NPO「Safer Chemicals」「Safer Families」「Washington Toxics Coalition」で作る研究チームは、国内の主要小売店・喫茶店22店舗で受け取った感熱紙レシートを調べた。すると、半数が大量のBPAでコーティングされていることが分かった。

 これらのレシートは、10秒触っただけで最大2.5マイクログラムのBPAが指に付着し、こすった場合は付着量が約15倍になったという。

 指に付着したBPAは、紙幣へも簡単に移動していた。研究チームが調べた米ドル札22枚のうち、21枚でBPAが検出された。ただ、その量はレシートの場合よりもはるかに少なかったという。

 BPAをめぐっては、たとえ少量でも乳がん、肥満、思春期早発症など深刻な健康問題と関連した有害性があると指摘する研究が、過去10年間に130件以上示されている。

 カナダと欧州連合(EU)は最近、動物実験で胎児・乳児の神経発達や行動に悪影響が出る恐れが確認されたとして、プラスチック製ほ乳瓶へのBPA使用を禁止した。

 ただ、BPAの有害性には異論もあり、ポリタンクやジュースの缶、ホッケー用ヘルメット、携帯電話、コンピューター、車のバンパーなどに広く利用されている。

 世界保健機関(WHO)は前月、BPAは体内に蓄積しないという見解を示した。一方で「最近のさまざまな研究で、少量のBPAに健康被害との関連があることが分かっている」とも述べている。(c)AFP

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