【10月8日 AFP】米国人はかなり高齢になっても性的にアクティブだが、高齢層ほどコンドームを使用しない傾向があり、性感染症のリスクが懸念される――。14歳から94歳の米国人5300人以上を対象に、米インディアナ大学(University of Indiana)がインターネット上で行った性行動に関する調査の結果が、4日の米医学誌「Journal of Sexual Medicine(性医学)」に発表された。

 同大のセクシュアル・ヘルス・プロモーション(性の健康促進)センターが行ったこの調査は、米国で実施された性調査としては過去数十年で最大規模で、これだけ幅広い年齢層を対象にした性調査も初めてだという。

■高齢でも性感染症リスクは依然として存在

 まずコンドームの使用に関する質問に対しては、年齢層によって回答に開きがあった。

 10代は、性交渉をしていないという回答が多かったが、性交渉をしているという回答者では、コンドームの使用が「標準」となっていた。過去10回の性交におけるコンドームの使用率は、10代男子が79%、女子が58%だった。研究を率いた同センターのマイケル・リース(Michael Reece)所長は、10代のコンドーム使用が普及していることは「公衆衛生の成功事例」だと語った。

 一方で、米国人は「かなりの高齢(80代前後)まで」性的にアクティブであるにも関わらず、50歳以上で性交渉の際にコンドームを使用していると答えたのは、男性の5人に1人、女性の4人に1人だった。

 研究チームは、「加齢によって避妊を気にせずにすむようになっても、自分とパートナーを性感染症から守る必要があることを、認識しないままの人が多い。高齢者はそれまでの関係が終わったり、相手が亡くなっても、ほかの相手とデートしたり複数のパートナーと関係をもつ場合があるが、妊娠することはなくても性感染症のリスクは依然として存在する。高齢者の再教育が必要だ」と提唱している。

■女性のほうが浮気性?

 調査では、「ベッドの中で独創的」な米国人の性行為の多様さが明らかになった。直近の性交渉でどんなことをしたかという質問に対し、回答された性行為の内容の組み合わせは全部で41に上った。

 また性生活に対する男女差も大きかった。例えば、男性の85%が、直近の性交渉の際に相手の女性がオーガズムに達したと思っていたのに対し、実際にオーガズムに達したと答えた女性は64%だった。

 普段のパートナーのときのほうが欲情しやすく、快感を覚え、ぼっき機能の問題や痛みが少ないと答えたのは男性だった。女性は、関係をもったことのない相手のほうが欲情しやすかった。マスターベーションの回数に関しては、男性の方が女性よりも「圧倒的に」多かった。

■性に関する議論を前向きに

 しかし、ジョセリン・エルダーズ(Joycelyn Elders)元公衆衛生局長官は、今回の調査で最も特筆すべきは、米国でようやく公然とマスターベーションについて語られるようになった点だと論評で述べている。

「人間のありように関するオープンで率直な話題に、自然で喜ばしいこととして、性やセクシュアリティを迎え入れる時だ。生殖について語るだけでは十分でない。それだけでは、米国民のセクシュアリティや性的行為の多様性と、正確に向き合えていないからだ」(エルダーズ氏)

 インディアナ大センターのリース所長は、20年以内に追跡調査が行われることを期待するが、それには資金が必要だと述べた。今回の調査に出資したのは、コンドーム・メーカーだった。(c)AFP/Karin Zeitvogel