【10月5日 AFP】新たに開発された実験的ワクチンが、診断後の平均余命が1年程度と脳腫瘍の中でも最も致死率の高い膠芽(こうが)腫(GBM)の患者の寿命を大幅に延ばしてくれるとする研究結果が、4日の米科学雑誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)」に発表された。

 このワクチンは、GBMを悪化させる「EGFRvIII」という遺伝子をターゲットにする。米デューク大(Duke University)のプレストン・ロバート・ティッシュ脳腫瘍センター(Preston Robert Tisch Brain Tumor Center)などの研究チームは、35人のGBM患者でワクチンの実験を行った。

 うち17人は対照群とし、ワクチンを接種しなかった。なお、全員が外科手術、放射線治療、および化学療法薬テモゾロマイドの処方を受けた患者であり、ワクチンの接種は、放射線治療の完了から1か月後に開始した。

 その結果、ワクチンを接種した18人の平均生存期間は26か月と、予想の15か月を大幅に上回った。また、18人の無進行生存期間は14.2か月と、ワクチンを接種しなかったグループの6.3か月の2倍以上となった。ワクチンを接種したグループの約半数で免疫反応が活性化され、1人をのぞくすべての患者で腫瘍マーカーを持ったがん細胞がなくなった。

 データはワクチンの接種により余命が延長したことを示唆しているが、研究者は「現時点ではサンプルの数が少なすぎるため、確信を持って結論することはできない」と、さらなる研究の必要性を説いている。(c)AFP