【8月31日 AFP】たくさんの種類の果物や野菜を食べると、喫煙者のある種の肺がんリスクが抑制される可能性があるという論文が30日、米がん学会(American Association for Cancer ResearchAACR)の学会誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention」に発表された。

 今回の報告は、肺がんと診断された1600人を含む欧州の45万人を対象に実施された、一般的によく食べられている生、缶詰、乾燥の果実14種類、野菜26種類の摂取状況調査に基づいたもので、肺がんリスク抑制には、量よりも品目の多さが重要であることが示された。多品目の野菜・果物を食べると、特に扁平上皮がんのリスクが著しく減ると結論づけている。

 オランダ国立公衆衛生環境研究所、H・バス・ブエノ・デ・メスキータ(H. Bas Bueno-de-Mesquita)氏は「肺がんのリスクを減らすためには禁煙が最も重要であることには違いないが、色々な種類の野菜や果実を摂取すると、特に喫煙者の肺がんリスクが減るようだ」と語っている。「果実や野菜には多くの種類の生物活性化合物が含まれている。望ましいとされている量を食べるだけではなく、さまざまな品目を摂取したほうが肺がん防止に効果があると仮定するのは理にかなっている」と言う。

 同誌の編集委員を務める米ミネソタ大(University of Minnesota)のスティーブン・ヘクト(Stephen Hecht)氏によると、果実や野菜の摂取量が多いとがんの進行が抑制されることを示す研究はこれまでにもあったが、量よりも品目の多さについて調査した研究はほぼ初めてだという。

 ヘクト氏は、「世界にはまだ何十億人もの喫煙者がいる。彼らの多くはニコチン中毒の状態で、相当な努力をしてもなかなか禁煙できない。たばこの煙には発がん物質が複雑に混ざっており、これに対抗するためには予防物質もいろいろなものが必要だ」と言う。ただし「肺がんリスクを減らす上で唯一、効果が証明されている方法は一切のたばこを止めること」だと同氏は警告している。(c)AFP