【8月31日 AFP】片頭痛の原因遺伝子の1つを特定したと、国際研究チームが29日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に発表した。片頭痛の抑制や新薬開発などにつながることが期待される。

 これまでの研究では、片頭痛の中でもまれな種類のものの原因遺伝子が特定されていただけだったが、今回は一般的な片頭痛の原因遺伝子を初めて特定した。

 世界の40の医療機関によるチームが、5万人を対象に、重い片頭痛に罹患した人と片頭痛のない人の遺伝子を比較したところ、ある遺伝子変異体が片頭痛の発生リスクを20%上昇させることが分かった。

 原因遺伝子とみられるのは、第8染色体の遺伝子PGCPとMTDH/AEG-1の間にあるrs1835740と呼ばれる遺伝子変異体で、rs1835740によって神経伝達物質グルタミンの調節が妨げられ、グルタミンが脳細胞間に蓄積するために片頭痛が起こると考えられる。確証を得るためにはさらに研究が必要だが、これが正しければ、グルタミンの蓄積を抑制する医薬品の開発ができる。

 また参加したオランダ・ライデン大学医療センター(Leiden University Medical Centre)のGisela Terwindt氏は、今回の研究では頭痛専門クリニックの患者を主に対象としたため、ひどい片頭痛にあまりならない人たちも含めた、さらに広い調査が必要だしている。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は、疾病負担を表わす「障害を抱えて生きる年数(YLDsYears Lived with Disability)」の上位20位内に片頭痛を数えているほか、米国では、片頭痛治療にかかるコストは糖尿病治療と同程度かかると見られている。(c)AFP