【8月8日 AFP】中国中部で、乳幼児の乳房が早期に発達する症例が相次ぎ、粉ミルクに含まれたホルモンが原因ではないかと親や医師たちが疑っていると、中国国営英字紙のチャイナ・デーリー(China Daily)と環球時報(Global Times)が伝えた。

 チャイナ・デーリーによれば、製造元の同じ粉ミルクを飲んでいた15か月~4歳の女児3人のホルモン量を検査したところ、エストラジオールとプロラクチンが非常に高レベルで、成人女性の平均を上回った。

 湖北産科小児科病院(Hubei Maternity and Children's Hospital)の小児科の主任医師は、「赤ちゃんの体内から検出されたホルモン量は明らかに問題だ」と述べ、粉ミルクの使用中止を親たちに呼びかけるとともに、粉ミルクの検査の必要性を指摘した。

■製造元は「安全」主張、当局は検査要請を却下

 ところが、地元の食品安全当局は、1組の両親が行った問題の粉ミルクの検査要請を、「消費者の要請に基づく検査は行っていない」との理由で却下したという。

 また、この粉ミルクの製造元である山東(Shandong)省青島(Qingdao)の「聖元(Synutra)」は、「製造過程で合成『ホルモン』や違法な物質が投入された事実はない」との声明を発表し、製品は安全だと主張した。

 環球時報によると、「聖元」の粉ミルクをめぐる懸念が浮上したのは前月だが、問題の粉ミルクは現在でも、湖北省の武漢(Wuhan)では割引価格で販売が続いており、北京(Beijing)の店頭にも並んでいるという。

■ホルモン使用は未規制

 広東(Guangdong)省の酪農協会の元会長はチャイナ・デーリーに対し、乳牛の育成過程で、食物連鎖によって乳牛がホルモンを摂取した可能性を指摘しつつ、「家畜飼育におけるホルモン使用は、中国ではまだ規制の対象外だ。だから(ホルモンを)誰も使用していないと言えば、ウソになるだろう」と語った。(c)AFP

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