【5月21日 AFP】スイス・ジュネーブ(Geneva)で開催中の世界保健機関(WHO)の年次総会は20日、酒類の安売り禁止や若者向け広告の禁止などを提起するアルコール規制指針案を、全会一致で採択した。WHOはアルコール依存症対策における「画期的な前進」と評価している。

 指針案はWHOが策定し、各国保健相らが集まった同年次総会で加盟193か国に承認された。法的拘束力はないが、「飲み放題」や広告内容に関する規制も盛り込まれている。

 2004年の世界統計によると、アルコールがらみで死亡した15~29歳は32万人に上る。若年層のアルコール依存問題は年々ひどくなっている。

■スポーツイベント広告や飲み放題の規制を提案

 こうした状況を受け、指針は若者をターゲットとした広告の規制に特に言及。「アルコールの販売広告は国境や各国の司法権を越え、衛星放送やインターネットといった経路を通じて伝播している。一部の国では、スポーツや芸術イベントのスポンサー広告が深刻な懸念となりつつある」と批判し、スポンサー契約や広告内容・量の規制を各国政府に呼び掛けた。

 また、未成年の飲酒防止や飲み過ぎの抑制には販売価格の引き上げが効果的だとして、アルコールへの課税を奨励するとともに、安売りによる販売促進やディスカウント販売、原価割れ価格や均一料金での飲み放題の禁止・制限などを例示した。

 さらに、飲み過ぎにつながる一因としてアルコールの入手が容易な点を指摘。販売ができる日や時間を制限する案も提示している。(c)AFP/Alexandra Troubnikoff