【5月19日 AFP】うつ患者の自殺をゼロに抑えることに成功した米医療機関による取り組みが、米医学誌「米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)」の精神医療特集号で18日、紹介された。

 この取り組みは米ミシガン(Michigan)州を拠点とする医療機関ヘンリー・フォード病院(Henry Ford Health SystemHFHS)の行動医療科で実施されたもので、ここでは直近の2年間、1人も自殺者を出していない。

 うつ病のケアに特化した取り組み「Perfect Depression Care initiative」が始まった2001年当時の同院では、平均でうつ患者10万人中89人、うつ病以外の患者も含めると230人の自殺者が出ていた。

 HFHSは、米医学研究所(Institute of Medicine)が呼びかけている、医療改革のための6つのステップを応用することで劇的な効果をあげた。これは医療行為において、より安全であることやより効果的であること、より患者主体であること、適切なタイミングを図ること、効率的であること、公平であることなどを目指すもの。

 その結果、一つ一つの目的達成が波及効果となり、総合的にケアの質が大幅に向上。入院患者、通院患者を合わせて自殺者をゼロに抑えることに成功した。

「うつ病の患者に対して完璧に適切なケアが提供されれば、誰も死にたいとは思わなくなる」と、HFHSの行動医療科の精神神経科医、C・エドワード・コフィー(C. Edward Coffey)氏は話す。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、米国の自殺者は毎年3万3000人以上に達しており、自殺が死因の11位となっている。(c)AFP