【4月15日 AFP】米マイクロブログサービス「ツイッター(Twitter)」を伝染病などの早期警戒システムに活用しうるという研究結果を今週、英ロンドン(London)のシティ大学(City University London)のチームが13日に発表した。

 同大のチームは2012年に開催されるロンドン五輪に備えて、英国民健康サービス(National Health ServiceNHS)、欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and ControlECDC)と共同で調査を進めた。背景には、ツイッターを活用すれば、例えば英国を訪れる観光客に対してNHSから、最寄りの病院や歯科医、救急サービスなどの情報提供を円滑に行えないかという構想がある。

 09年5~12月にかけてツイッターに英語で書き込まれたメッセージ(いわゆる「つぶやき」)約300万件を対象に、インフルエンザを意味する「flu」という単語の使われ方を調査した結果、「豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)にかかってる(I have swine flu)」という文を含むメッセージが1万2954件、また「インフルエンザにかかった(I've got flu)」という文を含む書き込みが1万2651件あった。

■憶測を広げる側面も

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は今週、新型インフルエンザA型(H1N1)に対する国際的な対応を見直す検証委員会の初会合を開いた。各国の専門家29人で構成する同委員会では13日、前年の警戒態勢の中、特にインターネットが新たな局面をもたらし、中でも世界的大流行のうわさや憶測をあおるなどインターネットがインフルエンザ対策に打撃を与えたことが指摘された。WHOのケイジ・フクダ(Keiji Fukuda)事務局長補代理は「ワクチン接種に反対するメッセージが行き交い、多くの国で保健機関が非常に苦労した」と語った。

 これに対し研究チームの科学者の1人、Patty Kostkova氏は、発生後の伝染病の広がりを監視するには従来の疾病監視システムのほうがすぐれているとしながらも、ツイッターをモニタリングしていれば、世論の懸念や不安の動向を追いかけることや、伝染病の発生を発見することも可能だと反論している。

 調査結果は今週、欧州臨床微生物感染症学会議(European Congress of Clinical Microbiology and Infectious DiseasesECCMID)で発表された。(c)AFP