【2月26日 AFP】バーチャル・ゲームによって脳卒中患者の運動機能を回復させることができるかもしれない――。25日開かれた米国脳卒中協会(American Stroke Association)の学会で、任天堂(Nintendo)の家庭用ビデオゲーム機「Wii」を使った研究結果が発表された。

 カナダ・トロント(Toronto)のセントマイケルズ病院(St Michael's Hospital)の研究チームは、2か月ほど前に脳卒中で倒れた経験を持つ20人を対象に、まひした腕を動かして運動機能を改善させる実験を行った。

 患者は2つのグループに分け、一方は「Wii」のゲーム2種類(テニス、料理を練習する「クッキングママ(Cooking Mama)」)を、もう一方はトランプか「ジェンガ」と呼ばれる積み木のバランスゲームを、それぞれ1日8時間、2週間にわたって続けてもらった。

 その結果、Wiiのグループでは有害効果が見られた人は1人もいないどころか、動きのスピードに大幅な改善が見られ、回復の程度も大きかった。トランプとジェンガのグループでは吐き気・めまいを訴える人が1人出現した。
 
 研究チームは、Wiiの効果が高い理由について、Wiiのゲームで求められる「反復される高負荷な動作」と「脳の再編成にかかわる特殊なニューロンを活性化させる動作」が、脳卒中患者の一般的なリハビリで使われる原理と同じである点を指摘している。

 Wiiを脳卒中の治療法として活用する可能性については、すでに大規模かつ無作為な研究が始まっている。(c)AFP