【2月25日 AFP】肥満問題の対策には、果物や野菜などのヘルシーな食品を安くするよりも、高脂肪で糖分の多いジャンクフードに課税する方が効果的――。このような研究結果が24日、米ニューヨーク(New York)州立大学バッファロー校(University at Buffalo)の研究チームによって発表された。

 研究チームは、子どもを持つ女性42人にそれぞれ22ドル(約2000円)を渡し、研究室に設置した「スーパーマーケット」内で買い物をしてもらう実験を行った。このスーパーには、バナナや全粒パン、コーラ飲料、クッキーなどの絵が置かれており、ヘルシーな食品とジャンクフードそれぞれ30種類を選べるようになっている。飲み物も、果物ジュース2種やスキムミルク、水の4種類のヘルシーな飲料と、糖分の多い飲料4種類が用意された。

 女性たちは、家には食料品がなく、家族の1週間分の食料を買いに行くことを想定するよう伝えられた。

 実験では5回の買い物を行ったが、1回目はすべての商品の価格は地元スーパーと同程度の値段設定だった。2~3回目はヘルシーな食品・飲料の価格が下げられ、4~5回目はヘルシーではない食品・飲料の価格が上げられた。

 その結果、いわゆる「罪悪税(sin tax)」と同様に、ジャンクフードの価格が上昇することが、ヘルシーな食品の価格が下がるよりも、購入した食品・飲料の総カロリーを減少させることに効果があった。

 実際、ブロッコリーやヨーグルト、ぶどう、卵、魚などのヘルシーな食品の価格を下げた場合、女性たちが購入した食品・飲料の総カロリー数は上昇したという。一方で、ジャンクフードに課税したとして価格を上昇させた場合、女性たちは高カロリーで栄養価の低いジャンクフードへの支出をやめ、低カロリーの食品を購入した。

 研究チームによると、ジャンクフードに10%の税金を課すと、買い物客が購入するジャンクフードは14.4%減少するという。これは、1週間分の買い物で総カロリーが6.5%低くなることを意味するという。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、米国では20歳以上の成人の約3分の1が、6~19歳以下の子どものおよそ5人に1人が肥満だという。(c)AFP