【2月18日 AFP】日中に突然強い眠気に襲われる睡眠障害のナルコレプシーの誘因を突き止めたと、スイスの研究者らが研究結果を医学誌「Journal of Clinical Investigation」に発表した。新たな治療法につながると期待される。

 ナルコレプシーは、日中に繰り返し倦怠(けんたい)感や睡魔の発作に襲われ、眠り込んでしまうという睡眠障害で、患者数は平均して人口の0.05%程度と推定される。

 通常は、ニューロンにより生成されるタンパク質「Trib2」が、人間を目覚めた状態に保つ働きを持つオレキシン(ヒポクレチン)という物質も分泌する。これまで、ナルコレプシーはこのオレキシンの欠乏と関連付けられてきたが、正確な誘因は特定されていなかった。

 今回ジュネーブ大(Geneva University)とローザンヌ大(Lausanne University)の研究チームは、ナルコレプシー患者120人から採取したサンプルを調べ、Trib2抗体の濃度が高いことを発見。Trib2抗体は、オレキシンのニューロンを破壊してしまうことから、「ナルコレプシーは体内の免疫系の攻撃で誘発される」と結論付けた。

 なお、神経系の自己免疫疾患の治療に使われる免疫グロブリンをナルコレプシー患者に投与したところ、「並外れた効果」が得られた。初期症状の出現直後にこれを投与されたナルコレプシー患者の大半で、睡眠障害がなくなったという。(c)AFP