【2月8日 AFP】中国で08年に汚染が大問題となり、乳幼児6人の死亡事故も発生した有害化学物質メラミンを含む粉ミルクが依然、中国市場に100トン近く出回っているという調査結果を国営メディアが8日、発表した。

 08年の事件以降、破棄されているはずの粉ミルクを当局が追跡し、取り締まっている過程で、違法に再販売されていることが明らかになり、食の安全と検査基準に対する警戒感が再燃している。

 国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によると、前週6日には寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)で、乳製品企業2社の工場が、汚染ミルクを販売していたために閉鎖された。また北東部の吉林(Jilin)省では、汚染粉ミルクを使用したキャンディーが見つかった。

 寧夏回族自治区警察の捜査によると、工場を閉鎖した企業のうち1社には、08年の事件時に債務不履行に陥った同自治区外の企業から、09年7月に弁済として、残っていた汚染粉ミルク約170トンが渡っていた。受け取った寧夏のこの企業では、ほとんどすべての粉ミルクを包装し直し、中国北部や南部の省にある5工場に販売した。これまでに回収できたのはわずか72トンで、当局では残りの粉ミルクの行方を追っている。

 汚染ミルクであることを寧夏の企業が認識していたかどうかは定かではない。同自治区の乳製品業協会の会長は、「(受け取ったのは)小さな企業で、メラミンの混入検査ができる機械を自前でもっていない。そのような機械は100万元(約1300万円)もするものだから・・・ともあれ、包装を変えた再販売は違法だ」と述べた。
 
 国営メディアによると、当局が懸念を募らせているしるしとして、中国政府は16省に調査員を派遣し、メラミンが混入した汚染食品が回収網の目を逃れて市場に出回っていないか、調べている。この新たな取り締まりの過程ですでに3人が逮捕されている。(c)AFP