【12月10日 AFP】イタリア医薬品庁(AIFA)は9日、バチカンや政府閣僚などが反発していた経口中絶薬「RU486」の発売を正式に認可した。ただし他の認可国と異なり、イタリアでは病院内で中絶手術の代わりとしてのみ使用される見込みだという。

 AIFAは当初、7月31日にRU486の販売を認可したが、その後、カトリック信者が大多数を占めるイタリア国内で反対の声が高まり、伊議会上院委員会は同庁に再検討を要請していた。

 RU486の認可をめぐっては、アルフレド・マントバーノ(Alfredo Mantovano)内務副大臣が、「生命を終わらせる薬」を単なる風邪薬の類に分類することと同じだと批判。また、ローマ法王庁生命アカデミー(Pontifical Academy for Life)の元委員長、エリオ・スグレッチア(Elio Sgreccia)司教は、RU486を「極めて有害な毒」と表現し、「使用した医師や女性、推進者は破門する」とまで語っていた。

 一方、RU486の開発者であるフランスのエティエンヌ・ボリュー(Etienne Baulieu)氏は、3ヶ月前ローマ(Rome)で開かれた会議で、イタリアについてRU486を利用できない「唯一の欧州主要国」だとの事実を訴えていた。

 RU486は仏エクセルジン(Exelgyn)が欧州向けに製造しており、フランスでは1988年に「ミフェプリストン(Mifepristone)」の名前で販売が認可されている。同社は2年前、インターネットでの販売も始めている。(c)AFP