【11月19日 AFP】毎日飲酒する男性はまったく飲まない男性に比べて、冠動脈性心疾患にかかるリスクが平均3分の1程度低いという結果が、長期にわたってスペイン人男性を調査した研究で明らかになった。

 19日、英国医師会(British Medical AssociationBMA)刊行の「ハート(Heart)」で発表された研究では、欧州におけるがんの調査の一環で、29~69歳のスペイン人男女4万1000人以上を10年にわたって追跡調査した。

 調査期間中に男性481人、女性128人の計609人が、心臓発作などの冠動脈疾患を生じた。そのうち男性では飲酒をする人のほうが、1日のアルコール摂取量にかかわらず、まったく飲まない人よりもリスクが低かった。

 詳しくみると、飲酒を止めたが以前は飲んでいた人では飲まない人よりもリスクは10%低く、毎日少量の飲酒者(1日アルコール0.5グラム)では35%、適度の飲酒者(同5~30グラム)では54%、多量の飲酒者(同30~90グラム)と大量飲酒者(同90グラム超)では50%、それぞれリスクが低かった。酒の種類は関係なかった。

 女性でも同様に飲酒者のほうがリスクが低い傾向はあったが、統計的に有意な結果は得られなかった。

 スペインはビールとワインの生産で世界第3位、1日当たりのアルコール消費量では第6位だが、一方で冠動脈性心疾患による死亡率が世界で最も低い国のグループに入る。

 ただし多量飲酒は健康に良いと解釈したがる人に向けて同報告では、アルコールの乱用によって、早死や身体障害などほかに多くのリスクがある点を指摘している。(c)AFP