【11月18日 AFP】通常の恐怖反応を示さない子どもは、大人になると犯罪を犯しやすくなるとする研究結果が、16日の米医学誌「American Journal of Psychiatry」に発表された。

 研究チームは、約1800人の3歳児を対象に、大音量の短い不快音と普通の音とを聞かせる実験を行った。このとき、恐怖への反射作用である汗の分泌などを測定することで、「恐怖条件付け」を調べた。

 そして20年後、被験者の裁判記録を調べた。

 その結果、被験者のうち23歳までに重罪を犯したのは137人で、このなかに3歳時の実験で正常な恐怖反応を示した者は1人もいなかった。

 一方で、23歳までに犯罪を犯したことがないグループでは、実験では正常な恐怖反応を示していた。

 研究者らは、大人になって犯罪を犯すようになる傾向には、社会的な条件付けや民族性や性差よりも、脳の特定の部位が正常に機能していないことによる方が大きいと仮定。神経系の発達が犯罪に部分的に関連しているとすれば、犯罪を防止し対処する取り組みとして、早期の治療行為が今まで以上に頼りにされるだろうとしている。

 たとえば、妊婦の喫煙、飲酒、ドラッグの使用を減らすことを目的とした出産前プログラムを実施して15年後には、未成年者の非行が減ったとする調査がある。

 また、3~5歳のときに栄養バランスの良い食事をして多くの運動をし、精神的にも刺激を受ける生活を送っていた子どもは、6年後にはそうでなかった子どもに比べて脳が良く機能し、大人になってからの犯罪率も35%減少したという統計もある。(c)AFP