【11月18日 AFP】米政府の予防医学作業部会(US Preventive Service Task ForceUSPSTF)が乳房X線撮影(マンモグラフィー)検査の推奨年齢を引き上げたことについて、国内の医師や専門家らは、乳がんで死亡する女性が増えることになると反論している。

 同作業部会は16日、マンモグラフィー検診の開始年齢を、2年前に勧告した40歳から50歳に引き上げるべきとの勧告を行った。また、50~74歳のマンモグラフィー検診は2年前に勧告した年に1度ではなく2年に1度にすべきとしている。

 これについて、米マサチューセッツ(Massachusetts)州のがん専門医、ティモシー・ジョンソン(Timothy Johnson)氏は、「40代のマンモグラフィー検診が勧められないということは決してない。マンモグラフィー検診をやめると多くの命が失われるだろう」と危惧(きぐ)する。

 米国では、乳がんを発症する女性は年間21万人にのぼり、死者は年間4万人に達している。

 米政府は現在、医療保険制度改革に取り組んでおり、経費削減努力が行われているが、今回の勧告はその一環なのではないかと疑う向きもある。

 たとえそうだとしても、若い女性のマンモグラフィー検診をやめるべきではないと、ニューヨーク(New York)のモンテフィオーリ・アインシュタインがんセンター(Montefiore-Einstein Center for Cancer Care)のクリスティン・ペルグリノ(Christine Pellegrino)医師は話す。「政府は、若い女性のマンモグラフィー検診を補助しないというのだろうか?何年かあとに、乳がんが進行してから患者が病院を訪れ、化学療法や手術や放射物治療が行われ、そして再発の危険性が高まるとしても?」

 勧告では、「40代女性では誤診がしばしば起こるなど、メリットが小さいことが明らかになった」としているが、乳がんを克服したある女性は、その代償は、本当の病気がタイミング良く見つかることに比べたら小さいと指摘する。

「わたしは40歳から毎年マンモグラフィー検診を受けてきました。(がんが見つかった)49歳のときに検診を受けていなければ、体調が悪かったわけではなかったので、乳がんには気づかなかったでしょう」

 ペルグリノ医師は、勧告は、何年にもわたり行われてきた乳がん啓発活動をも否定するものだと話す。「われわれは、乳がんに関する教育と啓発に莫大(ばくだい)なお金と人的資源を注ぎ込んできた。今日、どこに行っても、女性たちは乳がんやマンモグラフィー検診についての知識を身につけている」(c)AFP/Karin Zeitvogel