【11月14日 AFP】レーザー治療で慢性的な首の痛みを緩和することができるという研究報告が、13日発行の英医学専門誌「ランセット(Lancet)」(電子版)に掲載された。

 これは「低出力レベルレーザー治療(low-level laser therapyLLLT)」と呼ばれるもので、ごく弱いレーザー光を照射することで、細胞組織を回復させたり痛みを和らげたりすることが可能だという。首の痛みの治療法としては一般的になりつつある。

 研究を行ったのは、オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)のBrain and Mind Research Instituteのロベルタ・チョウ(Roberta Chow)氏が率いるチーム。LLLTの治療で症状がどれほど緩和されるかについて無作為化した臨床試験を16回実施した。被験者は2つのグループに分けられ、半数は本物のLLLT治療を、残る半数はLLLTに似せたニセの治療を受けた。対象となった患者は合計で820人にのぼった。

 5回の臨床試験では、LLLT治療を受けた被験者グループはそうでないグループより、痛みが緩和されたという人が約4倍も多かった。11回の臨床試験では痛みの強さを詳しく調べたところ、LLLT治療を受けた被験者グループでは、最初の痛みを100とした場合、痛みが80程度にまで軽くなり、痛みが緩和された状態が最大で22週間続いたという。

 今回の研究で、他の薬剤や療法と比較してもLLLTが治療効果の点で劣ることはなく、副作用も少ないことが分かっている。治療の際には、運動療法と組み合わせることが望ましいとされている。

 ただ、なぜLLLTに治療効果があるのかはよく分かっていない。神経を伝わる炎症や筋肉疲労、痛みの信号をLLLTが遅らせるためではないかと、研究チームはみている。

 10~24%の人が慢性的な首の痛みに悩んでいるとされ、経済的な損失も大きくなっているため、簡単で効果的な治療方法が必要だと研究チームは指摘している。(c)AFP