【10月30日 AFP】アルコールとタバコは、大麻、LSD、エクスタシーといった違法薬物よりも危険である――。薬物乱用に関する英政府諮問委員会の委員長をつとめる大学教授が29日、このような見解を示した。

 インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のデビッド・ヌット(David Nutt)教授がキングズ・カレッジ・ロンドン(King's College London)の刑事司法研究センターに提出した報告書の中で述べたもので、合法・違法物質の危険性について大衆がより良く理解できるよう、新しい分類体系を構築するよう求めている。

 教授によると、身体的・社会的な危害や依存に基づく有害度ランキングは、アルコールがヘロイン、コカイン、バルビツール酸系催眠薬、メタドンに次ぐ第5位。タバコは第9位。大麻、LSD、エクスタシーは、それぞれ11位、14位、18位となっている。

 英国では今年1月、大麻が「クラスC(精神安定剤や一部の鎮痛剤もこれに含まれる)」から「クラスB」に引き上げられた。これは、大麻の使用が最大14年の禁固刑に、所持が最大5年の禁固刑にそれぞれ引き上げられたことを意味している。わずか5年前、大麻は「クラスB」から「クラスC」へ降格されたばかりだった。教授は、「科学的な根拠を無視するばかりか大衆を混乱させている」と、政府を批判している。

 教授は、大麻が「有害」であることには異論がないが、これを使用しても健康上の大きな問題はないとしている。喫煙による肺がんリスクと比較すると、大麻による精神疾患リスクは「比較的小さい」という。

 教授はまた、「エクスタシーは乗馬ほど危険ではない」としている。同教授は論文などでこうした主張を繰り返しており、論争を巻き起こしたことがある。(c)AFP