【8月26日 AFP】香港(Hong Kong)の医療従事者の半数以上が新型インフルエンザA型(H1N1)向けワクチンの接種を受けたくないと考えていることが、26日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」(電子版)に掲載された調査結果で明らかになった。

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のポール・チャン(Paul Chan)氏率いる研究チームは香港の31の病院で働く医師、看護師、その他医療従事者8500人以上を対象に、ワクチンを接種したいかどうか調査した。

 調査は、今年前半の新型インフルエンザの警戒水準がまだフェーズ3だったころと、フェーズ5に引き上げられた直後の5月に行われた。結果は各回ほぼ同じで、接種すると回答したのはそれぞれ47%、48%にとどまった。

 副作用に対する懸念と効果に対する疑いが主な要因だと研究は指摘している。最近英国の看護師1500人を対象に行われた同様の調査では、30%が接種したくないと回答している。

■「ワクチン接種は重要」

 新型インフルエンザ対策において、医療従事者へのワクチン接種は医療インフラを守るための基本だ。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)がワクチン接種のガイドラインを発表したのに続き、欧州連合(EU)は25日、妊婦や基礎疾患がある人とならび医療従事者にまずワクチンを接種すべきとの方針を示した。米保健当局もすでに同様の方針を示している。

 2002年から03年にかけてSARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)が大流行した香港でこのような結果が出たことに研究チームは驚きをかくさない。

 BMJに寄せた解説で英バーミンガム大学(University of Birmingham)のリチャード・ジョーダン(Rachel Jordan)氏とロンドン大学の感染症疫学センター(University College London Centre for Infectious Disease Epidemiology)のアンドリュー・ヘイワード(Andrew Hayward)氏も、医療従事者のワクチン接種は患者のみならず本人のためにも重要だと指摘している。(c)AFP