【8月4日 AFP】世界で年間5億人が感染するマラリア。これはもともと、チンパンジーからヒトへ伝染したとする論文が3日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 蚊が媒介するマラリアの起源については、これまで不明とされてきた。チンパンジーがヒトの熱帯熱マラリア原虫に似た寄生虫に感染することは知られているが、これら2つの原虫の関係性については明らかになっていない。

 そのため、もともとは共通していた原虫が数百万年の間に別々に進化したとする説や、原虫が初めヒトに出現してチンパンジーに感染し、これが別の種に分かれたとする説があった。

 米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California Irvine)の研究チームは、カメルーンとコートジボワールの野生に生息する、または野生で誕生したチンパンジーから血液を摂取して精査した。その結果、これまで知られていなかった寄生虫が複数発見された。

 このことは、マラリア原虫がもともとチンパンジーからヒトに感染したことを示しているという。こうしたことが起こったのは200万-300万年前、遅くとも1万年前程度で、ある1つの宿主からヒトに感染した可能性が高いという。

 エイズ(AIDS)やSARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)のウイルスも、これと似かよったプロセスで動物からヒトへ感染しているという。(c)AFP