【7月3日 AFP】中年のときに独り身だった人は、結婚や同棲をしていた人に比べて認知症になるリスクが約2倍――スウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institute)によるこのような研究結果が、3日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」電子版に発表された。

 同研究所は、1970-80年代にフィンランド東部のクオピオ(Kuopio)とヨエンスー(Joensuu)の住民から、平均年齢50.4歳の男女2000人を無作為に選び、98年にそのうちの1409人(65-79歳)に対し認知力テストを実施した。

 その結果、アルツハイマーなどの認知症と診断されたのは57人、中程度の認識機能障害と診断されたのは82人だったが、中年時代に一人暮らしをしていた人では、パートナーと一緒に暮らしていた人に比べて認知症リスクが2倍近く高いことがわかった。また、中年時代に夫と死別または離婚してその後一人暮らしをしていた人では、認知症リスクが約3倍に跳ね上がった。

 男女差も顕著だった。中年時代に一人暮らしだった男性が認知症を患う確率は、パートナーがいた人に比べて2.5倍、女性では1.87倍だった。

 なお、この調査では、認知症の発症に影響すると考えられている諸要素(教育や喫煙習慣など)はすべて加味されている。

 以上の結果から、同研究所は、「パートナーと暮らすと認知力や社会性が刺激され、認知症の発症の予防になっているのではないか」との見方を示している。

 世界の認知症患者数は、2005年には推定2500万人だったが、2040年までには8110万人に達すると考えられている。(c)AFP