【4月28日 AFP】国際獣疫事務局(World Organisation for Animal HealthOIE、本部:パリ)は27日、メキシコを中心に拡大している豚インフルエンザについて、豚、鳥、ヒトのインフルエンザのウイルスが混合した病原体によって引き起こされたものであり、「豚インフルエンザ」という名称は正確ではない上、養豚業界にダメージを与えるとの見解を示した。

 OIEは「病原体は典型的なヒトインフルエンザウイルスではないが、豚、鳥、ヒトのウイルスの特徴を併せ持っている。ウイルスは動物のみからの由来と確認されたわけではなく、今回の病気を豚インフルエンザと呼ぶのは妥当ではない」との声明を発表した。

 ベルナール・バラ(Bernard Vallat)OIE事務局長はAFPとのインタビューで、ウイルスは4つの異なる株が混ざり合ったものだと明言した。

 うち1株は鳥に由来するもので、起源は米国。2つの株が豚由来で、起源は片方が米国、もう片方がおそらくアジアとみられ、残り1株はヒト由来で、起源は米国だという。

 バラ事務局長は「現在ヒトからヒトへ感染しているこのウイルスが動物由来であることを示す証拠はひとつもない」とも付け加えた。

 OIEは、過去に動物由来のウイルスによりヒト間で流行したインフルエンザが「スペインかぜ」「アジアかぜ」など地域名で呼ばれていたことに触れ、今回のインフルエンザを「北米インフルエンザ」という名称で呼ぶことを提唱している。

■さまざまなウイルスを保菌する豚

 豚は、豚由来のウイルスばかりか鳥、ヒト由来のウイルスをも保菌して、それぞれを混ぜ合わせる「るつぼ」のような役割を果たす動物として知られている。同じ動物に複数種のウイルスが存在する場合、ウイルスは複製を行う際にそれぞれの遺伝子を交換することができ、新しい株を生み出すとともに、新株は種の境界を越えてヒトにまで感染するようになる。

 ウイルスは、ヒトからヒトへ感染する間に変異を繰り返す場合があり、こうなると豚からヒトへというよりは、ヒトから豚への感染の方が可能性が高くなるという。(c)AFP

【参考】厚生労働省のホームページ