【3月18日 AFP】キノコを食べ緑茶を飲んだ中国人女性は、乳がんの発症率と発症後の悪性化の度合いが大幅に減少したとする報告を、オーストラリアの研究者らが18日学会誌「International Journal of Cancer(国際がんジャーナル)」に発表した。

 研究は、西オーストラリア大学(University of Western Australia)のMin Zhang氏のチームが行っている植物化学物質のがん抑制効果の研究の1つ。Min氏は、中国南東部、杭州(Hangzhou)の女性2018人を対象に、2004年7月から05年9月までの期間で食生活を調査した。女性の半数は、乳がんを発症している女性を集めた。

 世界的に、乳がんは女性が最も発症しやすいがん。Min氏によると、中国における乳がんの発症率は、先進国と比較しておよそ4-5倍低かった。

 Min氏は、AFPに「中国の更年期前と更年期後の女性、いずれの場合も、キノコを多く食べることで乳がんの発症率が減少した。また、キノコと緑茶による複合作用で、乳がん発症率がさらに低下することが分かった」と語った。

 Min氏は、「乳がんの発症率は、最もキノコを多く食べた場合に激減した」と述べた。生のキノコと乾燥キノコはどちらも同様の効果があるという。

 約10グラムのキノコ(マッシュルーム1個分未満)を毎日食べるだけで、有益な効果が得られるという。Min氏の研究によると、最もキノコをよく食べるグループの女性は、キノコを全く食べないグループと比較して、発症率が3分の2減少した。

 また、Min氏は、キノコと緑茶の摂取が、乳がん発症リスクを抑制するだけでなく、すでに発症したがんの悪性化を抑える効果もあることを突き止めた。

 Min氏は、キノコ単体ではなく緑茶とキノコを摂取した場合により効果が高まるという事実が、世界的にみた中国人女性の乳がん発症率の低さを部分的に説明していると述べ、「われわれの知る限り、キノコと緑茶の乳がんに対する複合作用を研究したのはわれわれが初めて」と語った。

「仮にわれわれの研究結果がほかの研究成果によって一貫性を確証された場合、安価な食材によって乳がんを予防することができる可能性が出てくる」(Min氏)(c)AFP