【12月7日 AFP】幸福感は他人に伝わりやすく、家族や友人などの社会集団の中でさざ波のように広がるが、職場では同僚の感情にあまり影響を受けない――。このような研究結果が5日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」で発表された。

 ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)のニコラス・クリスタキス(Nicholas Christakis)教授と、カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)のジェームズ・フォーラー(James Fowler)教授による共同研究によると、誰かの幸福感に変化が起きると、「幸福」または「不幸」な人々の社会的また地理的な集団が形成される。つまり、充足感は個人がそれぞれに感じるだけのものではないという。

 研究結果によると、他人の感情は、同居人よりも隣人や友人からのほうが伝染しやすく、職場では幸せな同僚がいても影響を受けない。これは、社会的状況が感情の伝染を抑止している可能性がある。

 最も重要なのは、人々が社会的ネットワークの一部であるということで、ひとりの健康や幸福感が他人に影響を与えるということを認識することだという。

 地理的条件も、幸福感に影響する。幸せな友人が1マイル(1.6キロ)以内に住んでいれば、自分も幸福感を感じる可能性は25%増加。また、同居人が幸せな場合は8%、近くに住む兄弟姉妹の場合は14%、隣人の場合は34%増える。

 この研究結果は「画期的」だという。添付された論説で、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(University College London)のアンドリュー・ステップトウ(Andrew Steptoe)教授と、ミシガン大学公衆衛生大学院(University of Michigan School of Public Health)のアナ・ディエス・ルー(Ana Diez Roux)教授は、「幸福感が実際に社会的関係の中で伝染するなら、間接的に健康を広めることも可能となり、政策や医療方針を設計する上で大きな影響を及ぼす」と指摘している。(c)AFP