【11月10日 AFP】MP3プレーヤー(デジタル音楽プレーヤー)で使われているヘッドフォンを、ペースメーカーや植え込み型除細動器などに3センチ以内に近づけると、このような機器に干渉する可能性がある――。米研究者らが9日、このような研究を米国心臓協会(American Heart Association)の会合で発表した。

 研究によると、ヘッドフォン内に使われている磁性体のネオジムが、ペースメーカーなどの機器の正常な動作を阻害し、機器を使用する患者を危険にさらす可能性があるという。

 研究を主導した米マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)にあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)の医療機器の安全研究機関「Medical Device Safety Institute」のウィリアム・メイゼル(William Maisel)氏によると、「ヘッドフォンを除細動機に近づけると、除細動機が一時的に停止することがある」と指摘した。

 研究では、ペースメーカーなどを安全に動作させるためには、MP3プレーヤーのヘッドフォンはこの種の機器から少なくとも1.2インチ(約3センチ)離して使用する必要があるとしている。また、ペースメーカーなどを使用している患者は、ヘッドフォンをポケットの中に入れたりや胸元に垂らしたりしないように注意を促している。

 メイゼル氏は「植え込み型除細動機などを使用する患者の家族や友人なども、ヘッドフォンの使用を避け、ヘッドフォンを着けたまま機器の上に頭を近づけないように」と強調している。

 研究チームは、別の研究結果から、米アップル(Apple)の「iPod」などのプレーヤー本体や携帯電話端末アイフォーン(iPhones)、ブルートゥース(Bluetooth)」対応ワイヤレス・ヘッドホン、電気毛布、空港で使用される携帯型金属探知機などは、ペースメーカーや植え込み型除細動機には影響しないとしている。(c)AFP