【9月29日 AFP】突然深い眠りに落ちる過眠障害「ナルコレプシー」の発症に関連する遺伝子を発見したとする東京大学(University of Tokyo)の論文が、28日の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)に発表された。

 ナルコレプシーは、日中著しい眠気に襲われたり、全身の筋肉が脱力したりする病気で、激しい感情が誘因となる場合もある。通常は、思春期後期か成人期初期に初めて発症する。

 徳永勝士(Katsushi Tokunaga)教授率いるチームは、日本人、韓国人、ヨーロッパ人、アフリカ系の4つの民族について、ナルコレプシー患者と通常の人の遺伝子を比較した。すると、ナルコレプシー患者の場合、睡眠制御に関連した遺伝子と睡眠覚醒周期に関連した遺伝子の間でDNAの変異が起きている可能性が極めて高いことがわかった。

 「rs57770917」と呼ばれるこの遺伝子の突然変異体を、ナルコレプシー患者が持つ確率は、4つの民族のなかでは日本人が最も高かった。

 これまでの研究でも、発症には遺伝子が関係していると指摘されてきた。家族にナルコレプシー患者がいると、ナルコレプシーを発症する可能性が10-40倍高まることが知られている。

 今回の発見からナルコレプシーの治療薬の開発などが期待できそうだと、研究チームは話している。(c)AFP