【9月27日 AFP】カナダでは昔から、のどの痛みを和らげるために紅茶やお湯にハチミツを入れて飲んでいたが、ハチミツは治りにくい耳鼻咽喉(いんこう)の感染症の治療で、抗生物質に取って代わる可能性もあることが、今週米シカゴ(Chicago)で行われた米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(AAOHNS)の年次会議で発表された研究結果で明らかとなった。

 研究を行ったのはカナダ・オタワ大学(Ottawa University)のチームで、実験の結果、一般的なハチミツが副鼻腔感染症を引き起こす細菌を殺し、さらに大半の場合において抗生物質よりも効果があることが判明した。

 チームのジョセフ・マーソン(Joseph Marson)氏は、花のみつを調合し、効果があるとみられる薬に変えるというハチの説明の付かない能力について驚きを示す。

 今回の予備実験では、人体ではなく実験室の培養皿で行われ、非常に強い耐性を持つ「スーパーバグ」のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する効果も試された。

 マーソン氏はAFPとのインタビューで、次に行われる臨床実験では、副鼻腔からばい菌を洗い流す「ハニー・リンス」が導入されることを明らかにした。

 チームはこれまでに、ニュージーランド産のマヌカハニーとイエメン産のシドルという木から取れるハチミツで実験を行ったが、この2種類のハチミツは液体に浮遊する細菌はすべて殺し、また菌膜では63-91%を殺した。菌膜は、副鼻腔、尿道、カテーテル、心臓弁で防御層を形成することもある微生物の集まりで、通常の薬物療法では細菌を保護してしまい、慢性的な感染症を引き起こすことも多い。

 ただし、すべてのハチミツに同様の能力があるわけではなく、カナダ産のクローバーやそばの実のハチミツはまったく効果がなかったという。これまでのところ、ハチミツのどの成分が細菌を殺すのかは不明で、殺菌のメカニズムを解明するにはさらなる研究が必要だという。(c)AFP