【9月19日 AFP】フランスの研究チームは17日、致死的な症状を招く食中毒の原因となるリステリア菌が母子感染する仕組みを解明したと発表した。

 解明したのはパリ(Paris)のパスツール研究所(Pasteur Institute)のMarc Lecuit氏率いるチームで、菌が胎児に感染する分子メカニズムに不可欠な2つの物質を特定したという。

 今回の発見は動物実験の結果だが、人間にも効果的とみられており、研究チームは感染経路の遮断を可能にする薬の開発にもつながるとしている。

 リステリア菌に感染すると、インフルエンザのような症状が起きる。感染源は無殺菌の乳製品、汚染された精肉、無洗浄の野菜類などで、腸を経由して血液に入り込む。神経系に侵入すれば髄膜炎やひきつけを起こす可能性もある。

 理由は完全には分かっていないが、妊婦は通常の成人に比べ、リステリア症になるリスクが20倍高い。米国では100万人に8人、フランスでは100万人に5人の割合で発症する。

 妊娠中に感染すると、流産や死産を引き起こす可能性があり、また新生児に感染するケースも多い。したがって、専門家らは、細菌が胎盤から侵入する仕組みの解明に努めてきた。

 ただし、今回の発見はすぐに適用できるものではなく、仕組みが完全に解明されるまでは、抗生物質の投与が最善の治療法だという。

 研究結果は、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載される。(c)AFP