【9月17日 AFP】ほ乳瓶やプラスチック製の食料保存容器に使用されているビスフェノールA(BPA)と呼ばれる化学物質が、成人の糖尿病や心臓疾患、肝障害に関係しているとする論文が16日、米医学誌「Journal of the American Medical AssociationJAMA)」(9月17日号)での発表に先立ち公表された。

 研究は、問題となっているBPAの成人に対する影響を調べたもの。被験者の成人1455人のうち、尿に含まれるBPA値が最も高かった人は、最も値が少なかった人と比べて、循環器疾患のリスクが約3倍上昇することが明らかとなった。また、BPA値が最も高かった人は、糖尿病になるリスクは2倍だった。

 論文の筆者らは、「尿に含まれるBPA値が高ければ、循環器疾患、糖尿病、肝酵素の障害の有病率も上昇する」とまとめた。

 論文の公表に合わせ、ワシントンD.C.(Washington, DC)で16日、米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)のBPAの安全性に関する公聴会が行われた。

 FDAは8月、BPAはこれまでのところ安全とみられるとする初期報告を発表した。FDAのローラ・タランティーノ(Laura Tarantino)上級研究員は公聴会で、BPAの安全性について「現時点では、適切に幼児や児童も含めた消費者を保護できる領域だ」と述べた。

 FDAが8月に発表した報告に対しては、学会や消費者保護団体から激しい抗議が起こり、FDAは少量のBPAが脳や前立腺、女性の思春期の発育に影響を与える可能性を示す動物実験の結果を無視しているとして非難した。

 また、国立衛生研究所(National Institutes of HealthNIH)の毒物学者のチームも、今月初めに行った研究で多数の食品保存容器、プラスチック製ボトル、歯牙充てん材から検出されたBPAの数値に懸念を示し、BPAが胎児や新生児の脳や前立腺の発育に危険な影響を及ぼす可能性を指摘する報告を行っている。

 BPAは、胎児や子どもの発育で重要な役割を担うホルモン「エストロゲン」の生成を妨害すると言われている。(c)AFP