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聴覚がなくても正しい発音が可能な秘密は? 研究成果

  • 2008年09月16日 21:45 発信地:パリ/フランス
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米国ラスベガス(Las Vegas)のMGMグランド・ガーデン・アリーナ(MGM Grand Garden Arena)でボクシングのWBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ、オスカー・デ・ラ・ホーヤ(Oscar De La Hoya) vs フロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.)戦の前に米国国歌を歌う歌手のマーク・アンソニー(Marc Anthony)(2007年5月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Al Bello

【9月16日 AFP】人間は言語の正しい発音を獲得する上で、耳で聞いた音だけでなく声道などからの神経信号も使っていることを示す研究結果が14日、英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」(電子版)に発表された。

 言葉を発音する際に、口腔や喉の筋肉などの位置や感覚といった情報を使って発音を調整している可能性があるという。新しいスピーチセラピーにつながるのではないかと期待される。

 研究を行ったのは、カナダ・モントリオール(Montreal)のマクギル大学(McGill University)のデービッド・オストリー(David Ostry)氏やサザード・ナジール(Sazzad Nasir)氏らのグループ。

 両氏は、聴覚を失って長期間たった後も明瞭な発音能力を維持している聴覚障害者が多いことに着目。成人に達してから完全に聴覚を失い、現在は人工内耳を使用している5人の中年成人を対象に実験を行った。

 実験では、被験者の下の前歯に小さな装置を付け、下あごがわずかに前に押し出された状態で、人工内耳のスイッチを切って4つの単語「saw」「say」「sass」「sane」をくり返し発音してもらった。

 この実験の目的は、自分の発する声が全く聞こえない状態で言葉を発する際に、発声器官に起きた予期しない変化に対応できるかどうか調べることだ。

 これらの単語に含まれる二重母音やサ行の摩擦音をはっきりと聞き取れるように発音するには、あごの位置を精密にコントロールしなければならない。下あごの前への移動はごくわずかなものだったが、口から発する音声にははっきりとした影響が出た。

 しかし、300回くり返し発音するうちに、被験者たちは、自分の声が聞こえないにもかかわらず、正しい発音になるよう修正していった。また、研究グループが同年代の健常者についても同様の実験を行ったところ、正しい発音になるよう修正するスピードは聴覚障害者のグループとほとんど変わらなかったという。

 オストリー氏とナジール氏は、発音の驚異的な適応能力の秘密は、発声器官にある機械的受容器(メカノレセプター)が、正しい発音をしたときの感覚を覚えているからだと考えている。

 オストリー氏は、実験結果は、自分が発した声と神経信号のフィードバックという2種類の刺激によって、人間の脳が発声を調整していることを示すものだと語る。

「子どもが話し方を覚えるとき、耳で聞いた音声だけではなく、皮膚や筋肉の受容器からの情報も利用しているのだろう。ある単語はどのように聞こえるべきかということだけでなく、発音するときにどのように感じるべきかという情報も利用しているのだと思う。今回はあごと顔の筋肉だけに着目したが、実験結果から発音に関係する受容器はくちびるや舌、喉頭の筋肉にもあると思われる。スピーチセラピーの1つの基礎になると考えている」(オストリー氏)(c)AFP/ Richard Ingham
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