【9月11日 AFP】歯磨きには、歯の健康を保つため以外に、さらに効用があることが明らかとなった。歯磨きによって、心臓疾患が予防できるというのだ。

 今週、アイルランドのダブリン(Dublin)で開かれた一般微生物学会の会合で、口内の衛生状態が悪いと、心臓発作や脳梗塞(こうそく)のリスクが高まるとの研究結果が発表された。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、心臓疾患は世界的に死亡原因の第1位となっている。毎年1700万人以上の命を奪っており、その数は上昇しているという。

 心臓疾患の3大原因は、喫煙、肥満、高コレステロールとされているが、新しい研究結果によって口内の衛生状態の悪さもこれに加わることが判明した。

■心疾患の引き金となる口内細菌の存在

 人間の口の中には約700種の最近が存在しており、歯磨きを怠るとそれらの細菌が繁殖しやすくなる。細菌の大半は無害で、健康を保つために必要なものもあるが、中には血管障害を引き起こし、心臓発作や梗塞に連鎖する引き金となる細菌もあることが明らかになった。

 ダブリンにあるアイルランド王立外科大学(Royal College of Surgeons)のスティーブ・ケリガン(Steve Kerrigan)氏は、「口内はおそらく人間の体で最も汚れている場所だ」という。「歯茎から出血して血管に穴が開けば、そこから細菌が体の血流に侵入する」。

細菌は、いったん血液に入り込むと血小板にくっつき、それが血管内で凝固して血栓となり、心臓への血流を減少させることになる。

 研究では「血管内および心臓内の血圧を再現し、細菌がさまざまなメカニズムで血小板を凝集させ、細菌が血小板によって完全に包み込まれる作用を再現した」。このメカニズムによって、心臓発作や脳梗塞を引き起こすだけでなく、免疫細胞や抗生物質から細菌を守ってしまうことにもなる。

 英ブリストル大学(University of Bristol)のハワード・ジェンキンス(Howard Jenkins)氏は「今回の研究で、抗生物質が感染性の心臓疾患の治療に必ずしも有効でない理由が明らかになった」と述べた。(c)AFP/Marlowe Hood