【8月30日 AFP】フランスの神経外科医のチームが29日、患者の頭部に小さな穴を開け、光ファイバーを挿入してガン細胞をレーザー照射する「鍵穴手術」で脳腫瘍(しゅよう)の治療に成功したと発表した。

 この画期的な治療に成功したのは、パリ(Paris)、ピチエ・サルペトリエール病院(Pitie-Salpetriere hospital)のアレクサンドル・カルパンティエ(Alexandre Carpentier)氏のチーム。カルパンティエ氏はこの快挙について、複数の最先端技術と局所麻酔を組み合わせた「世界初」のものだと述べた。

 手術では、磁気共鳴映像(MRI)スキャナーを用いながら、頭蓋骨(ずがいこつ)に開けられた直径わずか3ミリの穴から、水冷式の光ファイバーを慎重に患部近くまで挿入する。

 レーザー照射の作業では、コンピューターが3秒ごとに患部の温度を算定し、危険な温度上昇を察知するとともに、がん細胞のみに照射されていることを確認する。

 この手術では、脳の損傷を防ぐためリアルタイムで頭蓋内をMRIスキャナーでモニターしており、レーザー技術を頭蓋骨内で使用した世界初の試みだという。

 現在までに治療を終えた6人の患者に対し、術後9か月にわたって検査を行ったところ、5人に再発は見られなかったという。

 この臨床実験はフランス医療製品保健衛生安全局(French Health Products Safety AgencyAfssaps)の監修で行われた。詳細は米医学専門誌「ニューロサージェリー(Neurosurgery)」に掲載された。

 治療には、米ヒューストン(Houston)のM.D.アンダーソンがんセンター(M.D. Anderson Cancer Center)や米民間企業BioTexの先端技術が応用された。(c)AFP/Brigitte Castelnau