【8月14日 AFP】1980年代に米歌手ボビー・マクファーリン(Bobby Mcferrin)がヒット曲『ドント・ウォーリー ビー・ハッピー(Don't Worry, Be Happy)』で歌ったとおり、「ハッピー」でいれば寿命がさらに数年間延びるという調査結果を、オランダのエラスムス大学(Erasmus University)の研究者らが9月に発表する予定だ。

 世界各地の30あまりの長寿に関する研究を調べた同大のRuut Veenhoven教授によれば、「幸福感で病気を治すことは不可能だが、健常者に関しては病気を回避する効果がある」という。寿命延長効果は禁煙による寿命の伸びに匹敵する7年半から10年ほど。

 これは幸福な人々は、より体重管理に気を配り、疾病の兆候に敏感であるほか、喫煙や飲酒を控えるなど、全体的に健康的な生活を送っているためとみられる。

 さらに幸福な人々の生活は活動的で社会に対しオープンで自信に満ち、良好な社会的ネットワークを築いていると、研究は指摘する。

 Veenhoven教授によれば、慢性的な不幸感は闘争や逃避を促すアドレナリンの分泌を活発化させ、長期的には高血圧や免疫力の低下につながることが分かっているが、幸福感がどのように身体の健康に影響を与えるのか、現在のところ正確にはわかっていないという。

 かつて、「幸福」に関する考察は詩人や哲学者の専門分野だったが、その垣根は取り払われ、近年では著名な経済学者らも人生を快適にする要因の研究に真剣に取り組んでいる(現在、こうした研究分野は「快楽論(hedonics)」とも呼ばれている)。
 
 ビル・マッキベン(Bill McKibben)氏は、2007年の著書『ディープエコノミー 生命を育む経済へ(Deep Economy: The Wealth of Communities and the Durable Future)』のなかで、経済と幸福の関連性を明確に著した。

 これまでの研究で、幸福感は物質的な富ではなく、友情や人間的な交流によって高まることが分かっている。また、自由、民主主義や効率的な政府の存在、適切な法の支配といった社会的要因も幸福感と関連している。

 Veenhoven教授らは2000年、幸福感と長寿の相関関係が最も高かったのは米国の尼僧だとする研究結果を、科学誌『Journal of Happiness Studies』に発表している。その理由として、尼僧らが共通の使命感を持ち世俗ストレスのない結束の強い共同体に属していることが考えられるとしている。(c)AFP