【7月18日 AFP】米国は、世界で最もコストのかかる医療制度をもちながら、その質は先進国の中で最低レベルににあることが明らかになった。民間団体「Commonwealth Fund」が、17日に発表した報告書の中で指摘した。

 報告書によると、米国の医療制度は非効率的で公平性を欠き、政府の首尾一貫しない政策に振り回されているとした上で、「米国では、ほかの先進諸国に比べ、医療費に1人あたり2倍のコストがかかっている。さらに、医療費は所得を超えて増大し続けている」と指摘する。 

 同団体は、各国の医療制度を37のカテゴリー別に評価し、満点を100ポイントとして数値化した。数値化された米国の平均値は2006年から2ポイント下落した65ポイントだった。

 米国は、迅速で適切な措置が必要とされる心臓発作などが原因の早世を予防するという点では、先進国19か国中、最下位だったという。米国が、この分野ではトップであるフランスや日本と同じくらいの死亡率の低さを実現していれば、最大10万1000人が死ななくても済んだ可能性があるという。また、米国は乳児死亡率の高さでも先進国中、上位にあるという。

 米国では、医療保険に未加入、または十分な保険に加入していない人が増えているため、医療制度の利用は減少傾向にある。保険未加入または十分な保険に加入していない労働年齢の成人は、2003年の6100万人から2007年は7500万人に増加しているという。(c)AFP