【7月18日 AFP】エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の病原体であるエイズウイルス(HIV、ヒト免疫不全ウイルス)への感染を防ぐ、または少なくともエイズの発症を遅らせる可能性のある2つの遺伝子が発見された。カナダ・マクギル大学(McGill University)の研究者らが16日、専門誌に発表した。

 この2つの遺伝子の存在は、HIV感染初期の患者と何度もウイルスにさらされながらも感染しなかった人との遺伝子を比較分析することによって明らかになった。HIV感染初期の患者がこの2つの遺伝子を保有する割合はわずか2.7%であるのに対し、感染しなかった人の保有の割合は12.2%だった。

 この2つの遺伝子のうちの1つは、体内のウイルスに感染した細胞を殺す、免疫システムのナチュラル・キラー細胞の表面のレセプターを発現させるよう遺伝的にプログラムされており、もう1つの遺伝子は、最初の遺伝子の働きを止め、ナチュラル・キラー細胞の活動を弱めるタンパク質を発現させる役割をもっているという。

 詳しい仕組みについてはまだ解明されていないが、つまり、HIVがナチュラル・キラー細胞の活動を弱めるタンパク質の発現を抑制し、その結果、ナチュラル・キラー細胞が活発になってHIVに感染した細胞を破壊するのだという。この一連の作用は感染後すぐに起こるため、この2つの遺伝子をもつ人はより効率的にHIVに感染した細胞を破壊し、エイズを発症する可能性が低くなるとみられている。(c)AFP