【7月1日 AFP】世界保健機関(World Health OrganisationWHO)は30日、多剤耐性結核(MDR-TB)菌を診断する新検査法が、年内に導入されると発表した。開発途上国における結核対策に大きく貢献するという。

 国際医薬品購入ファシリティー「UNITAID」が2610万ドル(約28億円)を拠出する新検査法は、患者の唾液に含まれるDNAを分析するというもので、2日以内に診断が下される。従来の検査では、結果が出るまで2-3か月を要していた。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で会見したWHOの「ストップ結核(Stop TB)」計画の責任者、マリオ・ラビリオーネ(Mario Raviglione)医師は、「結核抑制における大きな革命」と表現した。

 開発途上国では多くの場合、結核患者はまず標準的な治療を受け、改善が見られない場合に初めてMDR-TB検査を受けることになる。結果が判明し救命治療を受けるまでには数か月を要すことになり、この間にも周囲に感染する可能性があり、また死亡するケースも多い。

 世界にはMDR-TB患者が約50万人おり、年間約13万人が死亡する。

 WHOは、MDR-TB患者のうち、正しく診断され、適切な治療を受けている患者は2%に過ぎないと推定する。多くの国々では保健衛生サービスが不十分なためだが、新検査法の導入して、この数値を4年以内に15%以上に引き上げることを目標としている。(c)AFP