【5月5日 AFP】韓国政府は技術力で定評のある同国の美容整形を、新たなニッチ産業として大々的に売り込んでいる。世界的な美容整形ブームを受け、韓国を「アジアの医療観光のメッカ」にすることが狙いだ。

 韓国の「経済大統領」こと李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領は、最近の記者会見で、「過度の規制を撤廃して、美容整形医院が外国人を多く受け入れられるようにすべきだ」と発言した。

 保健福祉省によると、たとえ保険がきかなくても、安く高品質な美容整形を受けるために韓国を訪れる外国人は多い。手術費は米国や日本よりも安いのだという。

 同省は、美容整形の目的で訪れるいわゆる「美容整形観光客」へのビザの発給条件を緩和するなどの支援に乗り出している。36の病院と州政府が参加するCKMPCouncil for Korean Medicine Overseas Promotion)は、旅行代理店ともタイアップして、2012年までに年間10万人の美容整形観光客を受け入れたい考えだ。その場合の年間利益は、2000億ウォン(約200億円)にものぼるという。

 ソウル(Seoul)市は美容整形観光客数の増加を目指し、出身国に応じた言語でカウンセリングを行うサービスや、市内の美容形成外科や皮膚科を紹介するサービスを実施する予定だ。

 韓国の美容整形産業はすでに活況を呈している。CKMPに所属する病院だけでも、美容整形観光客の数は2005年の750人から2007年の1万6000人へと激増している。

 医療観光は、アジアではシンガポール、タイ、インドが先行している。だがCKMPの事務局長によると、美容整形、脊髄疾患や胃ガンの外科手術、近眼のレーザー治療の分野では、韓国の技術のほうが上回っているという。

 韓国では美容整形は「当たり前」だ。2007年のある大学の調査では、成人の47.3%が美容整形を受けたことがあると答えた。また、女性の10人に8人が「女性は見栄えを良くする必要がある」と回答。若い女性たちが就職活動のために美容整形を受けたり、親が誕生日や卒業祝いに娘に美容整形を受けさせるのは、この国では日常的な光景だ。(c)AFP/Lim Chang-Won