【4月8日 AFP】高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)のヒトからヒトへの感染例が、中国で確認された。中国疾病予防抑制センター(Center for Disease Control and PreventionCDC)が8日、英医学誌「ランセット(The Lancet)」で報告した。これまでの感染例は鳥からヒトが大半で、ヒト間感染は非常に特別な条件下に限定されていたが、この感染経路が広まるという懸念が現実となりうる。

 報告されたのは鳥インフルエンザで死亡した24歳の男性の例で、亡くなる前に父親に感染させたとみられる。CDCのYu Wang主任研究員によると、過去4年の間にわずかな例でヒト間感染が疑われてきたが、これまではきわめて特殊な状況下で「限定的で持続性はない感染例」とされてきた。

 世界保健機関(World Health OrganisationWHO)によると、2003年以降の人間の鳥インフルエンザ発症例378件の大半は、飼育していた鳥か野鳥からの感染で、うち60%以上が死亡している。

 今回のヒト間感染について、ベトナムの国立衛生・疫学研究所(National Institute of Hygiene and Epidemiology)の専門家ジェレミー・ファラー(Jeremy Farrar)氏は、入院中の重篤な患者の分泌物に大量に接触したことが原因と指摘した。

 また、これまで確認されているヒト間感染はすべて家族間で起こっていることから、もうひとつの限定要因として遺伝的要素があげられる可能性があるという。

 中国の男性が亡くなる前に接触した91人のうち、男性の父親以外に感染の兆候はみられてない。父子双方から採取されたウイルス株にも、変異はみられなかった。(c)AFP