【3月24日 AFP】世界中で毎日、清潔なトイレがないという理由だけで病気になったり死亡したりしている人がいる。世界保健機関(World Health OrganizationWHO)と国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は20日、このような現実が見過ごされている事態に警鐘を鳴らした。

 約5人に2人が適正なトイレを利用することができず、それにより26億人が病気にかかる危険にさらされているという。

 WHOのDavid Heyman氏は「今日、世界では1500万人が感染症で死亡している。衛生状態がよく、清潔な水を供給できれば、下痢が原因で命を落としていく子どもたちのうち200万人の命をすぐに救うことができる」と指摘した。

 国連(UN)は2008年を「国際衛生年(International Year of Sanitation)」に定め、衛生問題に焦点をあてている。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)が保健専門家1万1000人を対象に行った調査によると、1840年以降の最も重要な医学の進歩として、ワクチンや麻酔を抑え、衛生状態が挙げられているという。

 一方、水供給下水協力協議会(Water Supply and Sanitation Collaborative Council)のJon Lane氏は、政府によってはこの問題への取り組み方が適切ではないと指摘する。トイレが欲しくない人の元にトイレを設置し、それが自転車置き場や牛舎として使われているケースがあるほか、衛生施設供給に民間セクターを関与させるまでに時間をがかかりすぎているという。その結果、アフリカでは10人中6人が、適正なトイレを利用できない状態にあるという。

 1990年から2004年の間に、衛生施設は12億人に行きわたるまでに改善した。しかし現在のペースでは、2015年の時点でも24億人がトイレがない状態に置かれる見通しだという。(c)AFP/Patrick Baert