【3月10日 AFP】北海道大学、埼玉医科大学、化学企業・日油(NOF Corp.)や政府機関の研究者らによる産学協同チームは10日、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスに対する万能ワクチンの開発が可能になったと発表した。世界的流行を引き起こす可能性が懸念されている変異ウイルスにも有効なワクチンだという。

 新しいワクチン手法ではリポサムと呼ばれる脂肪を少量注射し、リポサムの表面に抗原を乗せて体内に運ばせる。この抗原の分子が免疫系の中でウイルスに反応する。

 現在の鳥インフルエンザ・ワクチンは免疫系自体のウイルス攻撃力に依存しているが、ウイルスが変異してしまうと無効になってしまう。

 新ワクチンは、ウイルスの内部構造がほとんど変化しない点に着目し、「ウイルスの表面ではなく内側を攻撃する」と国立感染症研究所(National Institute of Infectious Diseases)の内田哲也(Tetsuya Uchida)氏はAFPに語った。これによりウイルスの自己増殖を阻止するという。また、ここから複数のインフルエンザ・ウイルスに効果のあるワクチンが生まれる可能性もあるという。

 同研究チームはマウス実験を行い、鳥インフルエンザの異なるウイルス株にこのワクチンが有効であることを確かめたと発表している。

 2003年に鳥インフルエンザの発症例が確認されて以降、世界各地の死者は200人を超えている。(c)AFP/Miwa Suzuki