【2月28日 AFP】爆発事故で失明したアイルランドの男性が、息子の歯を用いた人工角膜を移植することによって視力を回復した。

 移植手術を受けたのは、同国西部メイヨー(Mayo)州在住のBob McNicholさん(57)。McNicholさんは2005年11月、リサイクル工場で、液化アルミニウムが爆発した事故で失明した。

 McNicholさんは、同国RTEラジオに、「一生、目が見えないと思った」と振り返った。

 McNicholさんは、アイルランドの医師から、視力回復にはもう治療法がないと宣告された後、英国ブライトン(Brighton)の病院で行われた歯根部利用人工角膜(Osteo-Odonto-KeratoprosthesisOOKP)と呼ばれる奇跡的な手術の存在を知った。この技術は、1960年代にイタリアで開発されたもの。

 手術には、息子のRobertさん(23)の歯、歯根、あごの一部が使用された。歯に穴が開けられ、そこにレンズをはめ込んで作られた人工角膜が移植された。一回目の手術は10時間、2回目は5時間の時間を要した。

 McNicholさんは、「今や出かけるにもテレビを見るにも十分な視力。完全な闇から単純なことができるようにまでなった」と喜びを語った。(c)AFP