【1月27日 AFP】米市民グループ「公の市民(Public Citizen)」は24日、数百万人に使用されてきたしわ除去用薬剤「ボトックス(Botox)」の危険性に関する警告を強化するよう、米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)に請願を行った。

 公の市民は「(ボトックスに含まれる)ボツリヌス菌の毒性についての警告を、直ちに強化する必要がある。(同薬品には)深刻な有害反応をもたらし、患者が死亡する危険性もある」と訴えた。同団体は過去に大統領選に出馬したラルフ・ネーダー(Ralph Nader)氏が設立した市民グループ。

 これに対し、ボトックスを製造・販売している米アラガン(Allergen)および同製品を利用する外科医を含む米国皮膚外科学会議(American Society for Dermatologic Surgery, ASDS)は共に、警告強化の必要はないと説明する。

 公の市民は声明で、「(米食品医薬品局が)今までに一度も、この毒物を使用する危険性を、患者や医者に対して告知したことがない」と述べる。

 同団体は、毒物が「身体の他の部位へ広がり、呼吸筋の麻痺や食べ物の飲み込みに障害を引き起こした」事例を示し、「気道や肺に食べ物や水分が流れ込み、吸引性肺炎につながる可能性もある」と、危険性を指摘する。

 同団体によると、1997年11月から2006年12月の間に、「ボツリヌス菌の毒性による有害反応が引き起こした」事例658件のうち、16人が死亡したという。

 アラガンは、「請願書で挙げられた危険性はすべて、既にボトックスに明記されている」として警告は十分になされていることを指摘し、「ボトックス療法が確立されて以来、ボトックスと関連した死亡者は一人も報告されていない」とその安全性を強調している。(c)AFP/Frederic Garlan