【1月17日 AFP】更年期以降の女性の場合、骨を丈夫にするためにカルシウムサプリメントを摂取する人は多い。ところがカルシウムのサプリメント摂取は、心臓の障害や発作のリスクを高める可能性があるとの研究結果が、16日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)に発表された。

 研究を行ったのは、ニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)のIan Reid氏率いる研究チーム。

 研究チームは、55歳以上の健康な女性約1500人を対象に調査を実施。被験者を同数ずつ2グループに分け、1グループにはカルシウムサプリメントを、もう1グループには疑似薬のサプリメントを毎日与えた。その後、両グループの健康状態について半年ごとに5年間、追跡調査を行った。

 その結果、心臓発作の症状が、「カルシウム」グループのうち60人から76件確認された。一方、「疑似薬」グループのうち50人から54件確認されるにとどまった。

  従来、更年期以降の女性のカルシウムの摂取は、血液中の「善玉コレステロール」の割合が「悪玉コレステロール」の割合を上回ることで心臓の健康が増強されるとされていた。しかしこの研究で、カルシウムの過剰摂取は通説とは逆の効果をもたらすことが明らかになった。

 研究チームは、カルシウム過剰摂取と心臓発作との相関関係について最終的な結論が出されたわけではなく、一層の研究が必要だと注意を促している。さらに、カルシウムの摂取が害をもたらす可能性があることから、骨密度への恩恵とのバランスを考慮すべきとも指摘している。(c)AFP