【1月14日 AFP】英国のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は13日のサンデー・テレグラフ(Sunday Telegraph)紙への寄稿のなかで、移植用の臓器提供者について、特に拒否しない限り全国民が自動的に登録される「推定同意」方式にすることを提案した。

 ブラウン首相は、臓器提供を待つ間に死亡する患者が全英で年間1000人に上っている点を指摘、「避けることのできる悲劇であり、何らかの取り組みが必要だ」と述べた。

 その上で、臓器提供の意思のある人が登録する現行制度に変わって、特に拒否した人以外は自動的に登録される「推定同意」方式を導入すべきだとした。

 ブラウン首相は、「最終的な判断は遺族に委ねられる」としつつ、新方式によって「移植手術の将来的な利益と現行方式の限界とのギャップを少しでも埋めることができるのではないか」との見方を示している。

 すでに、同国保健省が新方式導入についての公開協議を開始することが決まっているという。欧州ではスペインが同様の方式を導入しており、ブラウン首相はスペイン方式をモデルとする方針。

 同国で現在臓器移植を待つ人は8000人以上いるが、年間の臓器移植手術の件数は3000件にとどまっており、臓器提供者の割合は他の先進国に比べて低い。各国における100万人当たりの提供者の数は英国の13人に対し、フランスは22人、米国が25人、スペインが35人となっている。(c)AFP